胃潰瘍
胃潰瘍とは
胃液は、とても強い酸性の消化液です。
食べ物を消化したり、病原体を殺菌するために役立っています。
通常、健康な胃では胃粘膜を保護する粘液が産生されており、胃液が胃の粘膜を傷つけることはありません。
しかし、何らかの理由で胃酸の分泌が過剰になったり、胃の防御機能が低下したりすると、胃液が胃の内壁を傷つけることがあります。
その結果、炎症や傷が生じ、胃の内壁が深く傷ついた状態である「胃潰瘍」が起こります。
胃潰瘍が進行すると、胃に穴が開いてしまったり、腹膜炎と呼ばれる炎症が生じることもあります。
かつては男性に多い病気と考えられていましたが、最近では性別に関係なく発症する可能性があります。
下記の症状にあてはまる場合は胃潰瘍の可能性があります。症状が進行する前に、早めの診断・治療が重要となります。
原因
ピロリ菌感染、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)、胃がん、過剰な胃酸分泌、ストレスなど
胃潰瘍の70%以上はピロリ菌感染が原因です。
症状チェックリスト
- 上腹部の痛み
- 胃もたれ、不快感
- 胃酸逆流
- げっぷ
- 胸や喉の灼熱感
- 吐血、黒色便
- 食欲低下、体重減少
検査・診断
症状を詳しく問診した後、診断のため胃カメラ検査を行います。
胃カメラにより胃の内部を直接観察し、胃潰瘍の診断を行います。
ピロリ菌感染や胃がんが胃潰瘍の原因となるため、ピロリ菌検査や組織検査を行います。
当院では、消化器・内視鏡専門医が内視鏡検査やその後の治療を行います。
苦痛のない内視鏡検査は、当院にお任せください。
治療法
胃潰瘍の原因に合わせた治療を行います。
ピロリ菌の除菌療法
ヘリコバクターピロリ菌感染が潰瘍の原因となっている場合、抗生剤と制酸薬の組み合わせによる除菌治療を行います。
胃がんの治療
胃がんが潰瘍の原因の場合、胃がんの治療を行う必要があります。
早期胃癌の場合は、内視鏡治療が行われることもありますが、多くの場合は手術や抗がん剤治療などの治療が必要となります。
薬物療法
胃酸の分泌を抑制し、潰瘍の治癒を促進するために制酸薬を内服していただきます。
プロトンポンプ阻害薬(PPI)やH2ブロッカーがあります。
潰瘍の大きさなどにもよりますが、概ね潰瘍の治癒まで2カ月程度要します。
NSAIDsの管理
NSAIDs(ロキソニンやボルタレンなど)が潰瘍の原因となっている場合、その使用を中止、減量する必要があります。
常用される場合、別の鎮痛薬への変更を検討することがあります。
生活習慣の改善
胃潰瘍の治療では、食事制限(刺激性のある食品やアルコールの摂取制限)、喫煙やストレスの管理、適度な運動といった生活習慣の改善を行います。