- 過敏性腸症候群とストレスが
原因!?過敏性腸症候群に
ついて - 過敏性腸症候群の症状チェック
してみましょう - 「下痢型」「便秘型」「混合型」
タイプ別症状 - 過敏性腸症候群の原因
- 過敏性腸症候群になりやすい方の特徴
- 過敏性腸症候群の検査
- 過敏性腸症候群の治療
- 過敏性腸症候群になったときの
食べ物(低FODMAP食)
過敏性腸症候群と
ストレスが原因!?
過敏性腸症候群について
過敏性腸症候群とは、腹痛などの腹部の不快感に加えて、下痢・便秘といった便通異常が繰り返される病気です。
命にかかわる病気ではありませんが、QOLを大きく低下させます。
はっきりとした原因は未だ解明されていませんが、ストレスが大きく関与しているものと考えられます。
過敏性腸症候群の症状
チェックしてみましょう
- 数カ月にわたって、腹痛や下痢、便秘が続いている
- 排便をすると、途端に腹痛が治まる
- 排便後も、残便感がある
- 1日に何度も腹痛や下痢でトイレに駆け込む
- コロコロした便が続く
- 排便の回数が不規則
- 体重減少
- 血便
- ストレスを感じると症状が悪化する
- 寝ている間は症状が鎮まる
「下痢型」「便秘型」
「混合型」タイプ別症状
過敏性腸症候群は大きく、以下の3つのタイプに分けられます。
下痢型
1日に3回以上、激しい腹痛と下痢が繰り返されます。
急な症状に対する不安から、日常生活へと影響が出やすいタイプです。
若い男性によく見られます。
便秘型
慢性的な便秘で、便がコロコロしています。
腹部の不快感、排便時のいきみ、残便感などにより、見えづらいストレスが溜まります。
女性によく見られます。
混合型
下痢と便秘が交互に繰り返されるタイプです。
下痢型と同様、日常生活への影響が大きくなります。
過敏性腸症候群の原因
はっきりとした原因は
未解明
過敏性腸症候群の原因は、いまだはっきりとは解明されていません。
現在のところ、ストレス、食習慣の乱れ、腸内細菌叢の変化、睡眠不足などが関与しているのではないかと言われています。
症状によってストレスが
溜まり、悪循環に
陥ることも
突然の腹痛・下痢、便秘はいずれもQOLの低下や肉体的・精神的疲労を招き、ストレスを増大させます。
ストレスが溜まり、さらに症状が悪化し、余計にストレスが溜まるという悪循環に陥るケースも少なくありません。
腹痛・下痢については
腸内のセロトニンが関与
近年、腹痛や下痢については、腸内のセロトニンという神経伝達物質が関与して起こることが分かってきました。ストレスによってセロトニンの分泌が促進されることで、腸の蠕動運動が亢進し、腹痛・下痢を引き起こすと言われています。
過敏性腸症候群に
なりやすい方の特徴
年齢層
男性では30~40代、女性では20代・50代に好発します。
近年では、10代で発症するケースも珍しくありません。
食習慣・生活習慣
食習慣の乱れ、腸内細菌叢の変化、睡眠不足などの関与も指摘されており、食習慣・生活習慣が乱れている人も過敏性腸症候群のリスクが高くなると考えられます。
性格・感受性
完璧主義でわずかな便通異常を過剰に気にしてしまう人、同僚を頼ることができず一人で抱え込んでしまう人、感受性が豊かな人は、同じ環境下でもストレスを感じやすくなります。
過敏性腸症候群の検査
症状、服用中の薬、既往歴などについてお伺いします。特に症状は、便の状態、頻度、期間、タイミングなど、詳しくお伝えください。メモをお持ちいただけますと、診断・治療にも役立ちます。
その上で、必要に応じて血液検査、腹部レントゲン検査、大腸カメラ検査などを行います。大阪住之江おおくぼ消化器・内視鏡クリニックでは、内視鏡専門医が苦痛の少ない大腸カメラ検査を実施しておりますので、どうぞ安心してご相談ください。
過敏性腸症候群の治療
過敏性腸症候群の治療では、生活習慣の改善と薬物療法を行います。
生活習慣の改善
食習慣を改善し、十分な睡眠を確保します。また、可能であれば適度な運動も取り入れます。ストレス、疲労の軽減のためのアドバイスも大切です。
低FODMAP食中心の食事療法が有効になるケースもあります。
薬物療法
腸の働きを調整する薬、便の硬さを調整する薬、腸内細菌叢を整える薬など、病態に合わせて処方します。
さまざまな薬がありますが、経過を見ながら種類を変更するなどして、患者さんにとっての最適な薬を判断します。効能だけでなく、お一人おひとりのライフスタイルを考慮した薬の選択・処方をいたします。
過敏性腸症候群に
なったときの食べ物
(低FODMAP食)
発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオールといった糖類を「FODMAP」と言います。
FODMAPの少ない食品を低FODMAP食、多い食品を高FODMAP食と言いますが、毎日の食事から自分に合わない高FODMAP食を取り除くことで、過敏性腸症候群の症状が改善することがあります。
なお、これは低FODMAP食だけを摂る、高FODMAP食をすべて避けるという食事療法ではありませんので、ご注意ください。また、すべての方に有効となる方法ではありません。
導入については、ページ最後の「実践方法」をご覧ください。
低FODMAP食
- 米、玄米、十割蕎麦、ビーフン、フォー
- 卵、牛肉、鶏肉、豚肉、魚
- トマト、ホウレンソウ、カボチャ、ダイコン、ジャガイモなどの野菜
- 木綿豆腐
- メープルシロップ
- バター、マーガリン
- 緑茶、紅茶
高FODMAP食
- パン、パスタ、うどん、ラーメンなどの小麦粉製品
- たまねぎ、アスパラガス、長ネギ、ニラ、サツマイモなどの野菜
- ソーセージ
- 大豆、納豆、豆乳
- はちみつ
- 牛乳、ヨーグルト
- チョコレート、アイスクリーム
- ウーロン茶
実践方法
1高FODMAP食を徹底的に避ける
最初の4~6週間、高FODMAP食を徹底的に避けます。
これにより症状が改善した場合、原因は高FODMAP食のうちのいずれかの食品にあることが分かります。
改善しない場合には、他の治療法を検討します。
2高FODMAP食を1つずつ食事に取り入れる
6週以降は、高FODMAP食を1つずつ食べていきます。
食後に症状が現れた場合には、その高FODMAP食が過敏性腸症候群の原因の1つであることが分かります。
症状が現れない場合には、その高FODMAP食は過敏性腸症候群の原因ではない(食べても問題ない)ことが分かります。
こうして、食べられる高FODMAP食と、食べられない高FODMAP食を分けていきます。
3食べられない高FODMAP食を除いた食事を
開始する
高FODMAP食のチェックが終われば、食べられない高FODMAP食のみを取り除いた食事を開始します。
多数の高FODMAP食を除去した場合には、他の食品を摂ることで栄養に偏りが出ないように注意します。