- ピロリ菌はうつる!?
ピロリ菌とは - ピロリ菌の症状・感染度
セルフチェック - ピロリ菌検査は胃がんリスクを
下げる!?受けるべき人は? - ピロリ菌感染にともない発症する可能性のある病気
- ピロリ菌の検査
- ピロリ菌の除菌治療
- ピロリ菌の除菌治療の注意点・
副作用 - ピロリ菌の検査・除菌治療の費用
ピロリ菌はうつる!?
ピロリ菌とは
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、キス、食べ物の口移し(乳幼児期など)、食器の共用などによって大人から子どもへとうつると考えられる細菌です。胃酸や免疫の発達に伴い6歳以上ではうつされる可能性はないとされていますが、一度感染すると除菌治療をしない限り胃に留まり続け、慢性胃炎、萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍を引き起こす原因になります。
もともとは井戸水の使用などが感染の原因であったと言われていますが、現代日本では上記のように大人(特に両親・祖父母)から子どもへの感染が主となっています。
ピロリ菌に感染している可能性のある方は、当院でのピロリ菌検査をおすすめします。除菌治療にも対応しています。
ピロリ菌の症状・感染度
セルフチェック
以下のような症状がある場合には、ピロリ菌の感染を疑いましょう。
- 胃やみぞおちの痛み
- 吐き気、嘔吐
- 胸やけ
- ゲップが多い
- 食欲不振、体重減少
- 吐血、下血
- 貧血
- 黒い便が出た
ピロリ菌検査は
胃がんリスクを下げる!?
受けるべき人は?
ピロリ菌の感染は、慢性胃炎・萎縮性胃炎、胃・十二指腸潰瘍の原因となります。そして慢性胃炎や萎縮性胃炎は、放置していると胃がんへと進行することがあります。実際、胃がんの90%以上はピロリ菌の感染が原因とわかっています。(ただの細菌感染によって命が脅かされるという事実は世界を驚かせ、ピロリ菌の発見者はノーベル賞を受賞しています。)ピロリ菌の検査・除菌治療を受けることが、胃がんのリスクを下げることにつながります。
ピロリ菌に感染しただけでは、ほとんど症状は現れません。物心がついた頃から既に感染しているため『こんなもの』と思われている事が多いです。除菌により慢性胃炎が改善されるため『お腹がすっきりした』と実感される方もおられます。症状が現れている人だけでなく、両親や兄弟にピロリ菌感染や胃がんの既往があるなど、リスクが高い人にはピロリ菌検査をおすすめします。
- 胃の不快な症状が続いている
- ピロリ菌検査で陽性になった家族がいる
- 胃がんになった家族がいる
- 胃潰瘍や十二指腸潰瘍になったことがある
- 30歳以上でピロリ菌検査を受けたことがない
- 胃薬などを飲んでも一時的にしか良くならない
- 発展途上国など、衛生環境の良くない国・地域に滞在したことがある
- 井戸水を飲んだり生活用水として使用したことがある
ピロリ菌感染にともない
発症する可能性のある病気
ピロリ菌に感染していることを原因として発症する主な病気をご紹介します。
胃潰瘍 | 胃粘膜が深く傷ついてしまう状態です。食後の胃の痛み、吐き気、膨満感などの症状を伴います。悪化すると、吐血や血便といった症状も見られます。 |
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十二指腸潰瘍 | 胃潰瘍とよく似た症状が見られます。胃の痛みは、空腹時に現れることが多くなります。 |
慢性胃炎・萎縮性胃炎 | 胃炎が慢性化した状態です。さらに放置していると、粘膜が萎縮する萎縮性胃炎へと進行します。また萎縮性胃炎の一部は、胃がんへと進行します。 |
胃MALTリンパ腫 | 胃粘膜のリンパ組織から発生する悪性腫瘍です。進行は緩やかです。 |
胃がん | 胃粘膜にできるがんの総称です。早期にはほとんど症状がありません。 |
突発性血小板減少性紫斑病 | 血小板の数が減ることで出血が起こりやすくなる・止血しにくくなる病気です。 |
慢性じんましん | 突然のぷっくりとした皮膚の赤い盛り上がりが現れ、短時間で消失することを繰り返す病気です。 |
ピロリ菌の検査
ピロリ菌の検査には、内視鏡(胃カメラ)を使用する方法と、内視鏡を使用しない方法があります。
保険診療としてピロリ菌検査を受けるためには、内視鏡を使用した検査を行う必要があります。
内視鏡を使用した検査
迅速ウレアーゼ試験
ピロリ菌が持つウレアーゼ酵素の働き(尿素を分解する働き)を利用し、内視鏡で採取した組織を特殊な試薬に浸けて判定します。内視鏡検査の際に胃粘膜を少し採取することですぐに結果がわかります。
組織鏡検法
内視鏡で採取した胃粘膜の組織を染色し、顕微鏡で観察して判定します。
培養法
内視鏡で採取した胃粘膜の組織をすり潰し、ピロリ菌の発育しやすい環境下で培養・観察して判定します。
内視鏡を使用しない検査
尿素呼気試験
検査薬の服用の前と後の呼気を採取し、ピロリ菌のウレアーゼによって作られる二酸化炭素を調べ、判定します。
抗体測定検査
血液や尿の中のピロリ菌の抗体を調べ、判定します。
糞便中抗原検査
便の中のピロリ菌の抗原の有無を調べ、判定します。
ピロリ菌の除菌治療
ピロリ菌検査で陽性であった場合には、除菌治療を行います。
二次除菌までは保険が適用されます。三次除菌以降も対応は可能ですが、自費診療となります。
一次除菌
胃酸分泌抑制薬を1種類、抗菌薬を2種類、計3錠を連続7日間、1日2回服用します。
8週間後に再度ピロリ菌検査を行い、成功・失敗の判定を行います。
一次除菌で80%以上が成功し、治療終了となります。除菌が成功した場合、再度感染することは稀です。
二次除菌
一次除菌で失敗した場合には、抗菌薬の片方の種類を変更し、二次除菌を行います。
一次除菌と同じように、計3錠を連続7日間、1日2回服用します。
8週間後に再度ピロリ菌検査を行い、成功・失敗の判定を行います。
二次除菌まで受ければ、ほぼ確実に成功し、治療終了となります。
ピロリ菌の除菌治療の
注意点・副作用
ピロリ菌の除菌治療を
受ける前
以下のいずれかに当てはまる場合、必ず医師にその旨をお伝えください。
- これまでに、薬を飲んでアレルギー症状を起こしたことがある
- ペニシリンなどの服用時に、ショック等の重いアレルギー症状を起こしたことがある
- 抗菌薬、風邪薬で強い副作用を起こしたことがある
ピロリ菌の除菌治療中
薬は医師の指示を守り、正しく飲んでください。
- ご自身の判断で服用を中止すると、除菌に失敗するばかりか、薬に耐性を持つピロリ菌へと変化することがあります。
- 治療期間中は、アルコールをお控えいただく必要があります。
ピロリ菌の除菌治療の
副作用
軟便・下痢、味覚異常、発疹などの副作用が起こることがあります。
軟便・下痢、味覚障害が起こった場合の対応
基本的に内服は中止せず、治療を継続します。
ご不安な場合、症状が強く現れる場合には、当院にご連絡ください。
発熱や腹痛を伴う下痢、粘血便、発疹が出た場合の対応
内服を中止し、当院にご連絡ください。
ピロリ菌の検査・除菌治療の費用
保険診療としてピロリ菌検査・除菌治療を行うためには、胃カメラ検査を受け胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎と診断される必要があります。
その他、早期胃がんの治療を受けた方も、ピロリ菌検査・除菌治療を保険診療として受けていただくことができます。
これ以外のケースでは、ピロリ菌検査・除菌治療ともに自費診療となります。ご不明の点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
保険診療の場合
保険診療の場合の費用の目安は、以下の通りです。
内容 | 3割負担の場合 |
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ピロリ菌検査・除菌治療 | 約5,000~6,000円 |